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卒業論文

卒論、「わかった」気だけにならないために!

大学生の皆さん、卒業論文の執筆に向けて、日々研究に打ち込んでいることでしょう。テーマを絞り、先行研究を読み漁り、実証調査を行い、そして考察を重ねる作業の中で、ついつい「わかった」と思い込んでしまいがちです。しかし、それは危険な「わかった気分」に陥っているだけなのかもしれません。

「わかった」と思い込むと、そこで探求の歩みが止まってしまう恐れがあります。卒業論文は学びの通過点に過ぎず、研究者としては常に物事を疑う姿勢、新たな課題に挑戦し続ける態度が肝心なのです。「わかった気分」に陥らぬよう、次の点に気をつける必要があります。

まずは自分の無知を自覚することから始めましょう。卒論で「わかった」のはほんの一部にすぎず、学問の領域には未だ多くの未解決の課題や新たな知見が無数に存在します。自分の視野の狭さに気づき、謙虚になることが大切です。

また、自分の主観にとらわれすぎず、物事を多角的な視点から見つめ直す努力が欠かせません。特に人文社会科学の領域では、同じ問題でも人によって解釈や評価がまったく異なることがあります。自説の一面性に気づき、複眼的な視座を持つ姿勢が重要なのです。

さらに、先人の知見を謙虚に学び、それらを土台に自分なりの新しい視座を打ち立てることが求められます。先達の研究を批判するのではなく、丁寧に読み込み、学ぶ姿勢が欠かせません。そうした上で自説を構築することが大切なのです。

加えて、専門家や実務家から知見を得ることで、学問の世界からだけでは見えにくい実践的課題に気づくことができます。現場の生の声に耳を傾けることで、新たな視野が開かれる可能性もあります。

そして何より、批判的思考力を持ち続けることが重要です。自分の結論に疑問を投げかけ、異論を恐れずに検討し、理論や主張の構築を絶えず見直す姿勢が必須なのです。一旦の「わかった」に満足してしまっては、成長が止まってしまいます。

卒論作成を通じて得た達成感や充実感は貴重です。しかし同時に、「わかった」と思い上がりに陥らないよう気をつけなければなりません。学問には終わりがありません。「わかった」と思えば思うほど、実はまだ分からないことの方が多いということを自覚し続けることが何より大切です。

これから社会に出て、様々な場面で発言する機会が増えていくでしょう。そうした時こそ、「わかった」と早合点せず、謙虚で粘り強い学びの姿勢を忘れずにいてほしいと思います。そうすれば、必ず新たな知の地平が開けていくはずです。

大学生のみなさん、卒業論文の執筆は、研究者としての第一歩を踏み出す重要な機会です。しかし同時に、それは無限に続く探求の途上に過ぎません。「わかった気分」に陥ることなく、常に向学心と探究心を持ち続けることを決して忘れないでください。

今この瞬間も、世の中には未知の領域が無数に広がっています。それらの新たな知の扉を開き、課題の解決に挑戦し続けていく覚悟が、研究者に問われているのです。一人一人が謙虚で批判的な視座を持ち続けることで、きっと新しい知の地平が切り開かれていくはずです。